映画 『ニッポンの、みせものやさん』
『ニッポンの、みせものやさん』
(2012年)
■監督: 奥谷洋一郎
■出演: 大寅興行社のみなさん 他
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博多の三大祭のひとつである、箱崎宮放生会
参道には、食べ物や飲み物の露店だけではなく、
オバケ屋敷やビックリ小屋なんかも立ち並びます
その中で、ひときわ異彩を放つのが、見世物小屋
「へびくい少女」こと、小雪太夫の芸をはじめ、
かっぱのミイラや、火吹き女、札当てなど、さまざまな見世物で楽しませてくれます
最盛期には数百軒あったものの、今では一軒しかないと言われている見世物小屋
ルーツは室町時代にあり、歌舞伎や人形浄瑠璃とともに、
京都の四条河原をにぎわせたと言われています

その、最後の見世物小屋である「大寅興行社」を追ったドキュメンタリー映画、
『ニッポンの、みせものやさん』を観てきました
戦後~昭和の雰囲気にみちみち溢れている、興行師の世界
義理・人情も感じさせ、祭りの裏の部分、いかがわしさなんかも垣間見せたりしています
しかし、映画全編を通して漂っているのは、
ノスタルジー、消えゆくものの美しさ
こういう映画って、ありそうでなかなかないです
もともと、
「小雪太夫チャンが映画スクリーンで見れるなら、見に行かねば」
というミーハーな気分で見に行ったんですが、
現・座長である、ゆうこ姐さんのキップの良さ、口上のキレの良さに、舌を巻きました
見世物小屋は、かつては、
みなし子や、生まれつき障害を持つ子供たちを引き取って、
出演者として仕事をさせ、食べていけるようにしたという救済施設の役割も持っていました
そうやって大寅興行社に貰われてきたお峰太夫さんは、
芸歴60年を越えているが、まだまだ演るという
芸人魂だけじゃないんだろう
大寅興行社への義理があってのことだと推察しました
映画としては、ハッと驚くようなスペクタクルは乏しいかもしれないが、
胸がじんわり熱くなる場面や、
見たことはないけれどもどこか懐かしい風景、ざわめき、空気、匂い、
そういうものを感じさせてくれる、映画です
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<映画のあらすじ>
昔は、いろんなお祭りや縁日で見かけた「見世物小屋」。
へび女、人間ポンプ、タコ娘、ロクロ首、オートバイサーカス…。
最盛期には数百軒を数えたという見世物小屋、その最後の一軒と言われる大寅興行社。
普段は垣間見ることができない見世物小屋一座の旅から旅への生活と歴史。
日本全国、旅から旅に回っている。目的地に着けば材木をトラックから下ろし、
一座全員で仮設の小屋の設営にかかる。
犬や猿やヘビも一座の一員のようだ。
見世物小屋の名物とも言える看板がかかり、夜になると興行が始まる。
小屋に明かりが灯り、客寄せの口上が場を盛り上げる。
太夫と呼ばれる出演者たちの出番だ。
怖いもの見たさのお客が小屋に吸い込まれていく。
かつて日本中どこでも見られた見世物小屋の風景が、いま消え去ろうとしている。
また今日も、小屋をたたんで、荷物をトラックに載せて次の旅に出かける。
見世物小屋がそこにあったという人々の記憶とともに。
(オフィシャルサイトより抜粋)
by dolmens | 2013-03-07 18:20 | ◇シネマと僕ラ
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